いま、子どもたちの学びが進化しようとしているのをご存じですか?
2020年、教育が変わります。
いえ、もう変わり始めています。
実は、2020年になってからの話ではないんです。
すでに幼稚園では2018年度から、新しい幼稚園教育要領のカリキュラムが始まっています。
なぜ、教育が変わるの?
全国どこの学校でも一定の教育水準が保てるよう、文部科学省が定めている教育課程(カリキュラム)の基準のことです。
これを基に子どもたちの教科書や時間割がつくられています。
小学生は2018年度、中学生は2019年度からの2年間が、2020年度から実施される新学習指導要領への移行措置期間として充てられています。
教育改革は、すでに始まっていたのです。
◎移行措置とは?
新しいカリキュラムに変更したとき、一気に変えてしまうと履修漏れや混乱を招く恐れがあります。
例えば、昔は「英語」の教科は中学校に入ってから学んでいましたが、現在では小学校5年生から学ぶことになっています。
こうしたカリキュラムが急に変わってしまうと、新6年生や新中学1年生は、「英語」の基礎の単元を学ぶ機会を失ってしまいます。
そうした学びの機会の欠落などを防ぐために、移行措置期間が設けられており、新学習指導要領へ切り替わる数年前から準備がはじまっているのです。
今後、予想される社会の変化とは
人気の職業ランキングに入ってきていますよね。
具体的に、何が変わるの?
まず、従来の「知識詰め込み型」ではなく、子どもたちが「自ら課題をみつけ、自ら学び・考え、判断して行動する」といった深い学びを重視した授業へと改善されます。
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たとえば、『「2+3=?」はいくつになりますか?』という問題が出されたら、答えは「5」だけですよね。
しかし、『答えが「5」になるには、「?+?」をしたらいいですか?』という問題を子どもたちに答えさせると、どうでしょう。
「1+4」という子もいれば、「2+3」という子もいます。
もちろん、「3+2」でも、「4+1」、「5+0」でも正解です。
子どもたちからの意見が活発になることがわかりますよね!
こうした質問ひとつで、子どもたちの学ぶ意欲は刺激を受けます。
その一方、こうした授業展開には、先生の指導力や質問力が問われます。
学習指導要領のねらいである、「主体的・対話的で深い学び」に結びつけるためには、
先ほどの例えで出た「5」になる足し算は「1+4」も正解、「3+2」も正解と教えて終わるのではなく、
「0+5」、「1+4」、「2+3」、「3+2」、「4+1」、「5+0」の答えを見比べて、

この答えから、なにか気づいたことはありますか?
と先生が質問をプラスすることで、


さまざまな子どもの気づき、発見を導き出すことができます。
自分で気づき、見つけた答えは、子どもにとって宝物となり、本当の「知識・知恵」へ結びつきます。
「足し算を学ぶ」ということより、足し算を「どのように学ぶか」、「どのように考えたか」を大事にする。
こうした授業を「アクティブ・ラーニング」といいます。
先生の説明を聞くだけの受け身な授業ではなく、子どもたちが積極的に授業参加できるような取り組み・授業づくりを推奨する動きは、今に始まったことではありません。
子どもたちに自分の意見を発表させたり、グループ学習で調べものをさせたり、町へ出てフィールドワークをさせ気づいたことをまとめたり、職場体験をしたりするのもアクティブ・ラーニングのひとつです。
今回の改訂は、新たなアクティブ・ラーニングを取り入れようというわけではありません。
これまでも実践されてきた調べ学習やグループ学習と知識伝達型の講義授業のバランスを考えたり、教科・単元、子どもたちの発達・反応など状況をみながら、より適切に実施しようということです。
新たに取り組むカリキュラム
「戦後最大の改革」といわれるだけあって、もちろん新たなカリキュラムもあります。
英語学習のスタート時期が早まり、
小学校では新たに「プログラミング教育」が必修化されます。
中・高校生では、英語の難易度が大幅にアップし、大学入試では「センター試験」が廃止されます。
大学入試改革については、こちらの記事にまとめました。
“大学全入時代”なんて言われて久しいですが、 じゃあ今は、希望すればどこの大学に入れるのか、第一志望の大学に入れているかって言ったら、答えは「No!」です。 「No!」なんですよ、おかあさん! 今の子どもたち、特にここ3年[…]
理数離れに歯止めをかけるため「理数教育」にも力を入れる一方、「金融教育」、「防災・安全教育」、「キャリア・起業に関する教育」など新たな内容も充実させます。
今回は、「プログラミング教育」と「外国語教育」について、みていきましょう。
プログラミング教育
「プログラミング教育」が必修化されるということで、教科として「プログラミング」の授業ができると思われている方もいるかもしれませんが、そうではありません。
算数や理科、または総合学習の時間など、既存の教科のなかで「プログラミング的な考え方」を学ぶのです。
直接的にコンピュータ技術の習得を目指すわけではありません。
自分の考えているものを作るためには、何が必要か、それをどのように組み合わせればよいのかを論理的に考えること。
不具合がでた場合は、どこを修正すればよいのかを検討し、改善するといったトライ&エラーによって実現することを学びます。
プログラミング教育については、こちらの記事でも書いています。
2020年、小学校でプログラミング教育が必修化されることが話題になっています。 子どもたちがこれから学校でプログラミング教育を学ぶ、といわれても、パソコンやプログラミングに詳しくない親は、何をどうやって教えればいいのか、不安で悩んでし[…]
おうちでできるプログラミング学習として、おススメのソフトやスマホアプリもご紹介していますので、チェックしてみてください。
外国語教育
「小学校で英語教育がスタートする」と聞くと、「あれ?数年前も言ってなかった?」、「もうすでに始まってるんじゃないの?」と思った方も多くいるかと思います。
その通り!
小学校では、これまで5・6年生から英語学習が実施されています。
しかし、それは教科としての「英語」ではなく、総合的な学習の時間を使って各学校の判断で英語に触れる機会を設けていただけです。
それが、今回の2020年教育改革後は、英語学習のスタートが2年早まります。
3・4年生で「外国語活動」の授業時間が、週に1時間設けられます。
また、5・6年生からは、正式な教科として「外国語(英語)」を週2時間学ぶことになります。
英語に関しては、テストはできても日本人はどうしてもしゃべれないという欠点がありますが、言語は小さい子どもが言葉を覚えるのと同じで、やはり耳で聴く、しゃべる、読む、書くの順番で習得するほうがいいように感じます。
週に1時間の学校や英語教室でのレッスンでは、しゃべれるようになるのは難しそうです。
英語も言語である以上、読み書きできるだけでなく、外国人としゃべって「コミュニケーションが取れる」ことを目標にしたいものですよね。
おうちでできる英語学習については、こちらの記事もあわせて読んでみて下さい。
親自身は英語が苦手、だけど子どもには英語を苦手にして欲しくない!と、願っている親御さんは多いですよね。 親のどちらかが英語を話せる家庭であれば、子どもに英語を身につけさせることはできそうです。 しかし、両親ともに英語がまったく話[…]
今のうちに準備できること
移行措置期間中、小学校・中学校では、教科書に「移行措置期間対応冊子」というのがついてきます。
その中に、「やるべき追加の内容」や「やらなくてもいい内容」などが載っていますので、小・中学生のお子様をもつ親御さんは一読しておくことをおすすめします。
そうすることで、お子さんが
「先生がこの単元を飛ばしてたよ」とか
「今日、学校で教科書に載ってないことを習った」
といったときに、アドバイスすることができるでしょう。
また、英語やプログラミング教育などを先取り学習を考えているご家庭では、いきなり新しいカリキュラムが入ってきてお子様が苦手意識を持たないよう、あらかじめ「こんな教科や学習がはじまるみたいよ」と情報を共有してあげたり、楽しく取り組めるような工夫ができるといいかと思います。