「読書をする子は学力が高い」はウソ!?学力向上に効果的な読書時間とは?

文部科学省が発表した、「平成29年度全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)」の結果によると、
本や新聞などに親しむ子どもは、親の年収や学歴が低くても、学力が高い傾向にあることが明らかにされました。

この結果をみると、学校の先生や多くの親たちは「たくさん読書させることが重要だ!」と考えるかもしれません。

確かに、本を読むことで想像力や思考力が養われ、知識と語彙力も豊かになりますし、賢くなりそうな気がします。

しかし、本当に読書をすれば、学力は上がるのでしょうか?

私がかつて、教育現場にいたころ
学校の図書館から年間200冊以上もの本を借りて読んでいる読書が大好きな生徒がいました。

しかし、その生徒の成績はというと、学年でも下から数えたほうが早いくらい。
決して学力が高いとはいえない残念なものでした。

学年の誰よりも読書が大好きなのに、学力は上がらない。

私は、このことがずっと疑問でした。

読んでいる本のジャンルが、漫画ばかりだった?

いいえ、たしかに漫画も好きな子でしたが、学校図書にはコミック漫画はほとんどありません。

本のジャンルや量が学力に影響しているわけではなさそうです。

じゃあ、なぜその生徒の成績は上がらなかったのでしょう?

読書すればするほど頭が良くなるわけではない

実は、本を読むのが好きなのに、成績が上がらない生徒というのは、わりと一定数います。

なぜ成績が上がらないのか、このナゾは人気ゲーム「脳トレ」の監修でおなじみの
東北大学・川島隆太教授の調査研究で解明されていました。

 

これは、小中学生4万人の「平日1日あたりの読書時間(雑誌漫画などを除く)」と「4教科(国語・算数/数学・理科・社会)の平均偏差値」を表したグラフです。

偏差値50以上が「成績上位層」、50以下が「成績下位層」を意味しています。

このグラフから、①の読書を「全くしない」または「10分未満」の子どもたちの成績が、
偏差値50を下回っていることをみると、やはり読書は成績の伸びに良い影響を与えているといえます。

つまり、成績を上げるには、1日最低でも10分以上の読書が有効ということです。

しかし、注目すべきは、②の「1~2時間」の子どもたちの成績をピークに、
③の「2時間以上」読書をする子どもの成績がガクッと落ち込んでいるという点です。

読書をすればするほど、右肩上がりに成績が伸びるわけではないです。

同様の結果は、平成21年度に文部科学省の委託で静岡大学が実施した
「読書活動と学力・学習状況調査の関係に関する調査研究」でも報告されています。

「国語」と「算数(数学)」の教科別に調査したこちらのデータでも、読書好きな子どもほど、どの教科も学力が高い傾向が認められました。
しかし、その一方で、長時間読書が必ずしも学力に結びついていないとう結果も示されたのです!

平日の読書時間が2時間以上の子どもたちと、読書を「全くしない」、あるいは「10分未満」の子どもたちは、どの科目でも正答数が高くなかったというのです。

読書で成績を伸ばすには

川島先生の分析によると、「読書時間を確保するということは、成績へよい影響がある」ということは確かだけれど、

しかし、その一方で、勉強や睡眠の時間などを奪ってしまうということにつながる恐れも生まれている、というのです。

そうなってくると、読書が与える良い影響よりも、勉強時間や睡眠時間が削られるといった悪い影響のほうが上回ってしまいます。

実際に、勉強時間が「30分~2時間」、睡眠時間が「6~8時間」という勉強時間も睡眠時間もきちんと確保している子ども達だけに絞って、読書時間と成績の関係を検証したところ、今度は読書を長時間している子どもほど成績が高いという「単調増加の関係」が示されていました。

考えてみれば、読書もゲームや映画鑑賞、スポーツなどと同じように娯楽のひとつです。
勉強もせず、睡眠や食事などの時間を削って読書に没頭すれば、学業に支障が出るのは当然といえるでしょう。

●生活リズムを整えることが大事

長時間のゲームが言語記憶、注意、睡眠、学業、知識などに悪影響を及ぼすことはよく知られています。

しかし、長時間の読書が、ゲームやネットのように悪影響を及ぼすというような話は、あまり聞くことはなく、完全に盲点でした!

先述の静岡大学の調査でも、「成績下位層のなかにも読書が好きな子はいるが
、読書以外でもテレビやネットの視聴やゲームなど他の活動にも長時間費やしている子どもが多かった」ことが報告されています。

このことからも、学業の成績を上げるためには、規則正しい生活のなか、計画的に勉強時間や
睡眠時間をしっかり確保したうえで、読書時間を設けること
が好ましいといえます。

誰もが、1日24時間しか持っていません。

小さい子どもの成長にとっては10時間程度の睡眠が必要
とされています。

そうした生活リズムを崩すことなく、読書を楽しむ時間を持つことで、お子様の脳にも情緒にも良い影響が生まれます♪

子どもが小さいうちは、就寝前に絵本の読み聞かせをする時間を作ったり、
小学校高学年~中学生になって習い事や部活で忙しくなっても、
勉強と読書をそれぞれ毎日30分ずつ(合計1時間)する習をつけるだけで、偏差値50以上の成績を収められる可能性が出てきます!

学校やご家庭でも、ただ「読書活動推進」を掲げて、子どもに「本を読みなさい!」と言うだけでなく、より効率的な読書の仕方を習慣づけされたいものですね!

 

引用文献:川島隆太監修、松崎 泰著、榊 浩平著 『最新脳科学でついに出た結論「本の読み方」で学力は決まる』 青春出版社
引用文献:読書活動と学力・学習状況調査の関係に関する調査研究(静岡大学)

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